〖2026年3月13日〗介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業Q&A第2版|居宅介護支援事業所が押さえたい実務ポイント

2026年3月13日、厚生労働省は介護保険最新情報 Vol.1475として、「介護分野の職員の賃上げ・職場環境改善支援事業に関するQ&A(第2版)」を公表しました。今回の第2版では、問6-2、問12-2〜12-4の追加と、問9の更新が行われています。
本記事では、その中でも居宅介護支援事業所に関係が深い論点を中心に、実務で迷いやすいポイントを整理します。
注意:本記事は、厚生労働省のQ&A第2版をもとにした要約です。都道府県ごとの実施要綱や申請スケジュールにより運用が異なる場合があります。実際の申請・報告時は、必ず所在地の案内もあわせて確認してください。
この記事の結論(居宅介護支援事業所に関係が深いポイント)
- 最重要①:代表取締役等の役員でも、実際に居宅介護支援事業所の業務を行っている場合は、補助金による賃金改善の対象に含められる考え方が示されました。
- 最重要②:地域包括支援センターから介護予防支援等の委託を受けている指定居宅介護支援事業所も、一定の整理のもとで補助金による賃金改善の対象になります。
- 重要③:職場環境改善等経費には使えるものと使えないものがあり、PC端末等の購入費用は対象外と明示されました。
- 重要④:基準月は原則として令和7年12月ですが、一定の場合には令和8年3月までの別月を選べる取扱いがあります。
補助金制度の全体像を先に確認したい方は、介護分野の賃上げ補助金(賃上げ・職場環境改善支援事業)|対象・申請先・居宅の注意点もあわせて読むと流れがつかみやすくなります。
重要①|役員や管理者も対象になるのか
今回追加された問6-2では、代表取締役等の役員であっても、その事業所の職員として介護サービスを提供していると判断できる場合には、補助金による賃金改善の対象に含めることができると示されました。
特に、Q&Aでは具体例として、職員が1人で、ケアプラン作成業務を代表取締役等が行っている指定居宅介護支援事業所が挙げられています。小規模な居宅介護支援事業所にとっては、実務上かなり重要な整理です。
ポイント整理(誤解しやすい点)
- 役員であれば自動的に対象、という意味ではありません。
- 補助金の対象となる事業所の業務を実際に行っていることが前提です。
- 法人本部職員も、対象事業所の業務に従事していると判断できる場合は対象になり得ますが、対象外事業所の職員は含められません。
居宅介護支援事業所への影響
- 管理者や代表者が実務を兼ねている小規模事業所では、申請対象の整理がしやすくなります。
- 誰を賃金改善の対象にするかを、職務実態ベースで説明できるようにしておくことが重要です。
- 就業実態や担当業務の記録を整理しておくと、後からの確認にも対応しやすくなります。
重要②|地域包括支援センターから委託を受けている場合はどうなるか
Q&A第2版では、地域包括支援センターと指定居宅介護支援事業所の関係についても整理されました。地域包括支援センターが介護予防支援や介護予防ケアマネジメントを指定居宅介護支援事業所へ委託している場合、補助金の申請者は地域包括支援センターとされています。
そのうえで、委託先の指定居宅介護支援事業所も補助金による賃金改善等の対象になることが示されています。原則として、基準月の介護報酬における原案作成委託料に相当する額については、各指定居宅介護支援事業所へ支払い、その金額以上の賃金改善等を行う考え方です。
まず押さえたい点
- 申請者は居宅介護支援事業所ではなく、原則として地域包括支援センターです。
- ただし、委託先の居宅介護支援事業所も配分対象になります。
- 実績報告では、委託先ごとの賃金改善額や支払額の把握が必要になります。
居宅介護支援事業所への影響
- 包括との間で、配分方法や報告方法を事前に確認しておかないと、後から調整が難しくなる可能性があります。
- 自事業所で通常の居宅介護支援費として申請している分との整理も必要です。
- 委託分の賃金改善をどう記録するか、台帳や集計表の準備が実務上重要になります。
重要③|何に使えるのか、何に使えないのか
職場環境改善等経費については、一定の範囲で研修費や募集経費、業務改善のための専門家派遣費用や会議費等に充てることができる考え方が示されています。
一方で、介護テクノロジー等の機器購入費用には充当できず、PC端末等の購入費用も対象経費として適当ではないと明記されました。パソコンや周辺機器の購入を予定していた事業所は、この点を特に注意しておく必要があります。
使途の整理で注意したい点
- 研修費は何でも対象になるわけではなく、職場環境改善に資する内容かどうかが重要です。
- 募集経費は、介護助手等の募集に係るものが中心です。
- PC購入や機器購入を想定していた場合は、別の予算での対応を考える必要があります。
居宅介護支援事業所としての見直しポイント
- すでに使途案を作っている場合は、対象経費と対象外経費の仕分けをやり直す
- 賃金改善にどこまで充てるか、法定福利費も含めて再試算する
- 職場環境改善分は、研修・業務整理・専門家支援などに使えるかを検討する
重要④|基準月と申請実務の考え方
本事業は、原則として令和7年12月にサービスを提供している介護サービス事業所等が対象で、基準月も原則として令和7年12月です。
ただし、大規模改修や感染症まん延等で令和7年12月の報酬が著しく低い場合や、月遅れ請求となった場合は、令和7年12月から令和8年3月までの間で別の月を基準月として選択できる取扱いがあります。また、令和8年1月から3月までに新規開設された事業所についても対象とする考え方が示されています。
今から確認しておきたいこと
- 自事業所の基準月は原則どおり12月でよいか
- 例外的な月を選ぶ事情があるか
- 都道府県の提出期限・様式・実施要綱はどうなっているか
- 根拠資料をすぐ出せる状態になっているか
なお、Q&Aでは、要件確認のための資料を一律提出するものではない一方、都道府県から求めがあった場合に速やかに提出できるよう根拠資料を用意し、2年間保存することとされています。
居宅介護支援が対象となる処遇改善加算の提出期限や、令和8年度の考え方を整理したい場合は、〖令和8年6月開始〗居宅介護支援も処遇改善加算の対象へ|提出期限と実務対応まとめも関連性が高い記事です。
今からできる準備(居宅介護支援事業所向け)
- 対象職員の整理:役員・管理者・事務職を含め、誰を対象にするか職務実態で整理する
- 包括委託分の整理:地域包括支援センターとの配分・報告ルールを確認する
- 使途の再確認:PC購入など対象外経費が混ざっていないか見直す
- 証拠資料の準備:就業規則、加算計画書、体制届、スクリーンショット等を整理する
- 実績報告の準備:賃金改善額や配分額を後で追えるよう記録方法を決めておく
まとめ
今回のVol.1475は、居宅介護支援事業所にとって、単なる補足資料ではなく、申請実務に直結する重要なQ&A改訂といえます。
特に、役員が実務を担う小規模事業所でも対象になり得ること、地域包括支援センターから委託を受ける居宅介護支援事業所も賃金改善の対象になること、そしてPC購入は対象外であることは、実務判断に影響しやすいポイントです。
申請を予定している事業所は、都道府県の実施要綱とあわせて今回のQ&A第2版を確認し、自事業所の対象範囲・配分方法・使途を整理したうえで、計画書と実績報告書の準備を進めるとよいでしょう。
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