【令和8年度介護報酬改定】ケアマネの処遇改善と処遇改善加算の最新動向(12月23日会議録 解説)

【続報】12月23日 会議録が公表されました

12月19日の社会保障審議会・介護給付費分科会での議論をもとに本記事を掲載しましたが、
その後、12月23日付で厚生労働省より会議録が公表されました。

12月19日時点の審議内容については、以下の記事で詳しく整理しています。
今回の記事は、その続報・補足としてお読みください。


▶ 【12月19日】介護給付費分科会で示された処遇改善の論点まとめ

今回公表された会議録では、12月19日に示された審議報告(案)の方向性を前提としつつ、
処遇改善の対象範囲や評価の考え方について、より整理された形で示されています。

公式資料(一次情報)

以下では、実務への影響が大きい3つの立場に分けて、
12月23日会議録の内容を整理します。


① 居宅介護支援(ケアマネ)向け|処遇改善はどう変わる?

12月23日付の会議録では、居宅介護支援・介護予防支援(ケアマネジメント)を
介護職員等処遇改善加算の対象サービスに含めることが適当
とする整理が、改めて確認されています。

これは、ケアマネの処遇改善について、
国として明確な位置づけを行おうとしている
ことを意味します。

これまでのケアマネの処遇改善

これまでケアマネジャーは、処遇改善加算の制度上の対象外とされてきました。
そのため、賃金改善や処遇改善は、各事業所の経営努力や工夫に頼らざるを得ない状況が続いてきました。

  • 制度上の加算がなく、報酬面での裏付けが弱い
  • 事業所ごとの裁量差が大きくなりやすい
  • 継続的な賃金改善を設計しにくい

このように、ケアマネの処遇改善は制度ではなく
「現場任せ」になりやすいという課題がありました。

今回の審議で示された考え方

介護分野全体で人材不足が深刻化する中、
ケアマネジャーについても制度上きちんと位置づけて
処遇改善を行う必要があるという認識が示されています。

ケアマネにとって何が変わる可能性があるのか

  • 処遇改善の理由を制度上説明しやすくなる
  • 事業所間の差が小さくなる可能性
  • 継続的な賃金改善を設計しやすくなる

想定されている要件の方向性(現時点)

  • 当初は処遇改善加算Ⅳ相当の要件を基本
  • キャリアパス要件・職場環境等要件が中心
  • 体制整備に時間を要することを前提とした経過措置

② 訪問系サービス向け|訪問看護・訪問リハの整理

訪問看護および訪問リハビリテーションについても、
介護分野全体の人材確保という観点から、
処遇改善加算の対象に含める方向性が示されています。

  • 訪問系サービスにおける人材不足への対応
  • 既存サービスとの均衡を踏まえた要件整理
  • ICT活用・多職種協働への取り組みの評価

③ 施設・管理者向け|処遇改善は「経営の話」へ

会議録を通して一貫して示されているのは、
処遇改善を単なる賃金引き上げではなく
生産性向上や業務効率化と一体で進める制度
として整理する考え方です。

  • 現行の処遇改善加算要件は基本的に維持
  • ICT活用・業務効率化・協働化を評価対象とする方向
  • 令和9年度改定を見据えた段階的な制度整理

4. 事業所として今から準備しておきたいこと(対象範囲の整理)

今回の処遇改善の見直しは、
居宅介護支援事業所に限らず、訪問系・施設系を含む全ての介護保険サービス事業所
に関係する内容です。

① 全ての介護サービス事業所に共通して求められる準備

  • 職場環境等要件の取り組み内容を整理・文書化
  • ICT活用・業務効率化の実績整理
  • 人材定着・離職防止につながる環境整備
  • 処遇改善を経営課題として位置づける視点の共有

② 特に居宅介護支援事業所で重要となる準備

居宅介護支援事業所は、これまで処遇改善加算の対象外であったため、
新たに制度対応が求められる可能性
があります。

  • ケアマネジャー向けキャリアパスの明確化
  • 評価・研修・処遇を結びつけた仕組みの整理
  • 経過措置期間を見据えた段階的なロードマップ作成

ケアマネとして働く方へ

処遇改善の制度見直しが進む中で、
ケアマネジャーの働き方や評価のされ方も、
今後変わっていく可能性があります。

当事業所では、制度動向を踏まえながら、
ケアマネが安心して長く働ける環境づくりを大切にしています。


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※ 本記事は、厚生労働省が公表した会議資料・会議録をもとに、
現時点で示されている方向性を整理したものです。
制度の最終内容は、今後の告示・通知により確定します。