【令和8年度】処遇改善加算の取り方|誓約で算定可?特例要件(生産性向上)まで整理

【令和8年度】処遇改善|実務に直結する要点だけ
【資料1まとめ】令和8年度は「誓約で可」も。新設の処遇改善加算の要件(案)を現場目線で整理

第252回 社会保障審議会(介護給付費分科会)で報告された「大臣折衝事項(資料1)」をもとに、令和8年度の“要件(案)”と準備の優先順位を分かりやすくまとめます。

※本記事でいうA/Bの2ルートは、一次資料で「新たに対象となる訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援等」について示された整理(案)です。

対象:介護事業所(居宅介護支援 等を含む) 更新目安:通知・Q&A公表で随時 根拠:厚労省 公表資料(一次資料)

この記事の結論(ここだけ押さえればOK)

令和8年度は「誓約で可」

キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳと職場環境等要件は、令和8年度中に整備する旨の“誓約”で算定可と整理されています(案)。 まずは「年度内に確実に整備できる運用設計」を優先すると実務が回ります。

特例要件の“想定例”が示された

令和8年度の特例要件(生産性向上・協働化)について、現時点の想定例として 「訪問・通所等→ケアプランデータ連携加入(又は見込み)等」 「施設・居住系等→生産性向上推進体制加算Ⅰ/Ⅱ(又は見込み)等」 が例示されています(案)。

補足(誤解防止):「加算Ⅳに準ずる要件」で進める場合は、一次資料(案)にある 賃金配分(例:Ⅳ相当額の一定割合を月額賃金で配分)など、運用通知で具体化される論点もあわせて確認が必要です。
重要:本記事は「資料1(報告)」等にもとづく整理です。制度は今後の通知・Q&A・算定要件の確定で変わる可能性があります。

1. 会議の位置づけ(どの資料の話?)

本記事は、第252回 社会保障審議会(介護給付費分科会)(2025年12月26日開催)での報告資料 「令和8年度予算に関する『大臣折衝事項』について(報告)(資料1)」を基にしています。

会議情報

第252回 社会保障審議会(介護給付費分科会)
開催日:2025年12月26日(令和7年12月26日)
主な議題:①令和8年度予算「大臣折衝事項」 ②地域区分(報告)

この記事で扱うポイント

とくに現場で影響が大きい「処遇改善(+1.95%)」と、算定に向けた要件(案)(誓約・特例要件)を深掘りします。

2. 大臣折衝事項(資料1)の要点

資料1では、令和8年度の介護報酬改定率が+2.03%とされ、その内訳として 「介護分野の職員の処遇改善:+1.95%(令和8年6月施行)」等が示されています。

実務で押さえるべき“3つの方向性”
  • 対象の拡大:処遇改善加算の対象を「介護職員のみ」から介護従事者へ拡大(案)
  • 上乗せ区分:生産性向上・協働化に取り組む事業者に対する上乗せ区分を新設(案)
  • 新設:これまで対象外だった訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援 等に新たな処遇改善加算(案)
ここから先は、上記の方針を踏まえた「算定に向けた要件(案)」の読み解きがポイントです。

3. 「算定に向けた要件(案)」—令和8年度は“誓約で可”

現場にとって最もインパクトが大きいのがここです。資料1の「取得要件(案)の整理」では、 キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳおよび職場環境等要件について 「令和8年度中の対応の誓約で可」とされています(案)。

「誓約で可」とは(実務での意味)
  • 年度当初の時点で要件が“完全に整備済み”でなくても、年度内に整備する運用計画を持ち、誓約することで算定を可能にする整理
  • ただし“何もしなくてよい”ではなく、年度内に整備して説明可能な形で残す(規程・記録・周知・実績)ことが前提
  • したがって、「誓約 → 年度内整備 → 証拠を残す」の3点セットで準備するのが安全
注意:「誓約で可」は“令和8年度の経過的な整理(案)”です。通知・Q&Aで提出書類や確認方法が具体化されるため、最終確認は必須です。

4. 特例要件(案)の“現時点の想定例”

ここで整理しておくと、新設の処遇改善加算は「2つの取り方」が用意されている、という構造です。

補足(対象範囲):本セクションのA/Bは、一次資料で「新たに対象となる訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援等」について示された整理(案)です。 すべてのサービスが必ずA/Bの二択という意味ではありません。

キャリアパス側のルート
→ キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ+職場環境等要件を整備して算定する(=加算Ⅳに準ずる要件)

特例要件側のルート(令和8年度)
→ 生産性向上・協働化の取組で算定する

そして②の「特例要件側」の取組の“例”として、次が例示されています(案)。

訪問・通所 等
ケアプランデータ連携システムに加入(又は見込み)等

※「等」であり、最終的な要件は通知・Q&Aで確定見込み

施設・居住系 等
生産性向上推進体制加算Ⅰ/Ⅱを取得(又は見込み)等

※「等」であり、最終的な要件は通知・Q&Aで確定見込み

実務の結論:「A(キャリアパス整備)」か「B(生産性向上・協働化の取組)」のどちらで進めるかを先に決め、 選んだルートの証拠(規程・記録・周知/申込控え等)を年度内に揃えるのが最短です。

5. キャリアパス要件Ⅰ〜Ⅳ:年度内に整備する内容と“残す証拠”

「誓約で可」でも、年度内に整備して説明できる状態にし、証拠(根拠資料)を残すことが重要です。 ここでは現場で運用しやすい“目安”としてまとめます(最終は通知・Q&Aで要確認)。

要件Ⅰ
職位・職責・職務内容等の要件/任用要件 等の明確化
年度内に整備する内容(目安)

・職位(例:一般職、リーダー、主任、管理者等)と役割の定義
・各職位の要件(経験年数、資格、評価、任用手順)
・職務内容(担当範囲・権限・責任・代行体制)の整理

残しておきたい証拠(例)

・職位定義/職務分掌(規程・要領)
・職務記述書(ジョブディスクリプション)
・任用記録(辞令・人事通知・社内申請ログ)
・周知記録(掲示・配布・説明会資料)

要件Ⅱ
資質向上のための計画(研修機会の確保 等)
年度内に整備する内容(目安)

・年間研修計画(必須/任意、対象職位、実施頻度)
・OJT/Off-JTの位置づけ(参加要件・評価連動)
・外部研修・資格取得支援(費用補助・勤務扱い等)

残しておきたい証拠(例)

・研修計画/研修実施記録(参加者名簿・資料・動画ログ)
・研修後アンケート/理解度テスト/振り返りシート
・資格取得支援の規程・申請・実績(領収等)

要件Ⅲ
昇給の仕組み(評価・能力・勤続 等に応じたルール)
年度内に整備する内容(目安)

・昇給の種類(定期昇給/能力昇給/役職昇給 等)
・評価項目(成果・行動・コンプラ・チーム貢献)
・評価の運用(面談時期、評価者、異議申立て)

残しておきたい証拠(例)

・賃金規程/評価制度資料(評価表・ルーブリック)
・評価結果(保存ルールに沿った保管)
・面談記録(実施日時・署名・電子ログ)

要件Ⅳ
改善後賃金年額「440万円」以上(対象職員の設定・運用)
年度内に整備する内容(目安)

・対象となる職員(または職位)の定義
・賃金設計(基本給・手当・賞与等の設計方針)
・年額算定の取り扱い(途中入職、時短、賞与算入 等)

残しておきたい証拠(例)

・賃金台帳・支給実績(給与システム出力)
・対象者の選定根拠(職位・評価・任用)
・算定ロジック(社内メモ/手順書/Excel)

ポイント:「証拠」は“監査のため”だけでなく、職員説明・採用広報・内部運用を整合させるためにも有効です。

6. 実務の進め方(最短ルートのチェックリスト)

Step 1:年度内整備の設計

・キャリアパス要件(Ⅰ〜Ⅳ)の「今あるもの/足りないもの」を棚卸し
・職場環境等要件(取り組み項目)の担当者・期限を決める
・誓約文(社内決裁フロー)を先に通す

Step 2:運用と記録を同時に作る

・規程・計画・周知(掲示/配布/説明)を“同じ月”に揃える
・研修は実施ログが残る形式(名簿・資料・動画)にする
・評価・面談の記録は保存ルールを決める

Step 3:特例要件の該当性確認

・自事業のサービス類型(訪問・通所/施設・居住系 等)を確認
・「加入(見込み)」「取得(見込み)」の定義を通知で確認
・代替手段(別の取組が“等”に含まれるか)を確認

Step 4:職員説明のテンプレ化

・「何がいつからどう変わる」をA4一枚に整理
・賃金改善と職場環境改善を分けて説明
・誤解されやすい“数字”(1万円、最大1.9万円等)の前提を明記

7. よくある質問(FAQ)

Q1. 「誓約で可」なら、今すぐ全部整備しなくても大丈夫?

“今すぐ完成していなくても”算定可能とする整理(案)ですが、年度内に整備して説明できる状態にすることが前提です。 したがって、「誓約 → 年度内整備 → 証拠を残す」をセットで運用してください。

Q2. 結局、何をすれば(新設の)処遇改善加算は取れますか?

資料の整理(案)では、次のAまたはBのどちらか(OR)を満たせば算定できる、という構造です。 つまり「キャリアパス側」か「特例(生産性向上・協働化)側」か、どちらかを選んで準備すればOKです。

A:キャリアパス側で取る(加算Ⅳに準ずる要件)

キャリアパス要件Ⅰ・Ⅱ+職場環境等要件を整備します。
(令和8年度は「年度内に整備する誓約」で算定開始可とする整理(案))

B:特例要件側で取る(令和8年度 特例要件)

生産性向上・協働化の取組を行います。
その“想定例”として、訪問・通所等では「ケアプランデータ連携システムに加入(又は見込み)等」が例示されています。

重要:「ケアプランデータ連携」はB(特例要件)の想定例の一つです。必須条件と決まったわけではありません。
本記事でいうA/Bの2ルートは、新たに対象となる訪問看護・訪問リハ・居宅介護支援等について示された整理(案)です。

Q3. 「加入(見込み)」「取得(見込み)」はどこまで認められる?

現時点では“想定例”の段階です。実務上は、通知・Q&Aで示される 「見込みの定義(申込完了、契約完了、導入計画、導入期限、確認書類)」を待ち、 その要件に合わせて証拠(申込書、契約、導入計画、社内決裁ログなど)を揃えるのが安全です。

Q4. 居宅介護支援(ケアマネ)でも本当に“処遇改善加算”が新設される?

資料1では、これまで対象外だった居宅介護支援等について「新たに処遇改善加算を設ける」方向性が示されています(案)。 具体的な算定要件・加算率・届出は今後の通知等で確定します。