【2025年12月25日】ケアマネ更新制は廃止へ?介護支援専門員証はどうなる|定期研修は継続(介護保険部会)

2025年12月25日に開催された 社会保障審議会 介護保険部会(第133回)では、2040年を見据えた介護保険制度の見直しに向けて「意見(案)」が示されました。
本記事では、その中でも 居宅介護支援事業所(ケアマネジメント)に影響が大きい論点 を中心に、要点を整理します。

注意:本記事は「意見(案)(概要)」等をもとにした要約です。制度改正として確定した内容ではなく、今後の検討で変更・具体化される可能性があります。
また、本文中の「運用上の備え(提案)」は、資料の方向性を踏まえた一般的な整理であり、要件の確定や結果を保証するものではありません。


この記事の結論(居宅介護支援事業所に関係が深いポイント)

  • 最重要①:ケアマネの更新制度(介護支援専門員証)について、資料では「更新の仕組みを廃止」しつつ、「定期的な研修受講を求める」方向が示されています。
  • 最重要②:介護予防ケアマネジメントは、資料で居宅介護支援事業所が「直接実施を可能とする」方向性が示されています(この資料のみで義務化と断定はできません)。
  • 重要③:ケアマネが抱えがちな法定外業務(シャドウワーク)について、地域課題として扱い、総合相談等での対応を整理する方向が示されています。
  • 重要④:いわゆる囲い込み対策として、有料老人ホーム等と提携する場面で、ケアマネの独立性の確保等が論点として整理されています。

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図解|「更新制」廃止案と「定期研修」継続の整理(誤解防止)

ポイントは、「更新という手続き」を廃止しつつ、「研修による質担保」を継続する方向が示されている点です(詳細運用は今後具体化)。

論点 資料で示された方向性(意見案) 未確定(今後の具体化ポイント)
介護支援専門員証の更新 「有効期間の更新の仕組みを廃止」 開始時期、経過措置、手続きの詳細
研修 「引き続き定期的な研修受講を求める」 頻度、オンライン可否、猶予・例外、確認方法
事業者への配慮 研修受講にあたり「事業者への必要な配慮」を求める趣旨 勤務扱い・費用負担の考え方、地域運用

重要①|ケアマネの「更新制度」はどう変わる?(介護支援専門員証の更新廃止→定期研修へ)

資料では、ケアマネジャーに関して「介護支援専門員証の有効期間の更新の仕組みを廃止」し、「引き続き定期的な研修の受講を求める」方向性が示されています。
また、研修受講にあたっては「事業者への必要な配慮」を求める旨も記載されています。

ポイント整理(誤解しやすい点)

  • 更新制がなくなる=研修がなくなる、とは限りません。資料上は「更新の仕組みを廃止」しつつ「定期的な研修受講を求める」方向であり、更新手続きとは別に研修を位置付ける整理と読み取れます。
  • 更新申請等の事務がどう変わるか、研修の頻度や運用(例外・猶予・オンライン可否など)は、今後の議論で具体化される可能性があります。
  • 「事業者への配慮」という記載があるため、研修受講に伴う勤務上の取扱い等は、地域や事業所の運用設計に影響し得る論点と考えられます。

なぜ見直すのか(背景の読み方)

資料では、2040年に向けて介護ニーズが複雑化する一方で、人材不足が深刻化する前提が示されています。
この文脈では、更新手続きに伴う負担を整理しつつ、専門職としての研修受講を継続的に位置付ける方向性が示されている、と読むのが自然です。

居宅介護支援事業所への影響(運営・人員配置)

  • 研修が定期的に想定される場合、年次で受講計画を整理する運用が必要になる場面が考えられます。
  • 受講時期が偏ると、担当件数の調整が必要になることもあり得るため、受講時期の分散や代替要員の検討が一案になります。
  • 受講費・旅費・勤務扱いの方針が曖昧な場合、社内判断がばらつくこともあるため、事前に整理しておくことが望ましい場面があります。
  • 受講状況を把握するために、台帳等で管理する方法が考えられます。

今からできる準備(資料の方向性を踏まえた「運用提案」)

整理:資料は「更新の仕組みを廃止」しつつ「定期研修受講を求める」方向、および研修受講に関する「事業者への配慮」を示しています。
※以下は、これらの方向性を現場運用に落とし込むための備え(提案例)です。制度として確定した要件や効果を保証するものではありません。

  • 研修管理の見える化:受講歴・次回予定・抜け漏れを管理できるように、一覧(台帳)整備の方法を検討しておく
  • 配慮の具体化:受講の勤務扱い(出張/勤務/自己研鑽)や費用負担(受講費・旅費)について、社内ルールを検討しておく
  • 人員配置の安定化:受講が繁忙期に集中しないよう、年度内で受講時期を分散する計画を検討しておく
  • 育成と研修の接続:新人のOJT(同行・記録評価)と研修計画をどう紐付けるか、育成ルートの可視化方法を検討しておく

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重要②|介護予防ケアマネジメントは居宅が“受けないといけない”のか?(直接実施を可能にする方向)

資料では、介護予防支援・介護予防ケアマネジメントの在り方として、
「介護予防ケアマネジメントについて居宅介護支援事業所の直接実施を可能とする」と記載されています。

まず結論:この資料だけで「義務化」とは断定できない

  • 記載は「可能とする」です。この資料のみから、居宅が必ず受けなければならない(義務)と断言することはできません。
  • 一方で、制度上「可能」になった場合、市町村の運用や地域の体制によっては、居宅に受託の打診が増えることも想定されます。

そもそも「介護予防ケアマネジメント」とは

介護予防は「要支援」等、生活機能の維持・改善を目指す支援領域です。
現場感覚としては、介護(要介護)と比べて「軽い」と受け取られがちですが、本人・家族の理解、生活背景の調整、地域資源の活用が必要になることもあり、説明・調整の負担が増えるケースもあります。制度側で「誰が担うか」を整理することは、現場負担の偏りを調整する意図があると考えられます。

居宅に受託が広がると何が変わり得るか

  • 業務量:受託が増える場合、担当件数の配分(上限、優先順位)を再整理する場面が想定されます。
  • 記録・様式:予防領域の書式、モニタリング頻度、評価の基準を、事業所の運用に落とし込む必要が出る可能性があります。
  • 連携:包括(地域包括支援センター)との役割分担、引継ぎ、相談ルートを整理しておかないと、運用上の混乱が生じることがあります。
  • 説明責任:予防と介護の違い、費用、支援の位置付け等について、説明資料を整えておくことが望ましい場面があります。
  • 体制:予防担当の置き方(専任/兼務)、ICT活用、事務支援(入力補助、テンプレート)などにより、負担の偏りを調整する選択肢も考えられます。

今からできる準備(居宅向け:運用提案)

※以下は、資料の方向性を踏まえた備え(提案例)です。制度として確定した要件や結果を保証するものではありません。

  • 包括との協議ポイント(受託条件、引継ぎルール、緊急時連絡、相談先)を整理しておく
  • 予防の運用テンプレ(初回面談、アセスメント、目標設定、モニタリング)を整備する方法を検討しておく
  • 説明文書(予防の目的、支援の流れ、相談窓口、同意事項)を準備する方針を検討しておく
  • 受託増の試算(現状の件数・稼働・担当上限)を行い、段階的に対応する方法を検討しておく

重要③|シャドウワーク(法定外業務)への整理・対応

資料では、身寄りがない高齢者等への対応が、ケアマネの法定外業務(シャドウワーク)になりやすい実態を踏まえ、
地域ケア会議で地域課題として議論できるようにすること、さらに総合相談等での相談対応を明確化する方向が示されています。

  • 事業所の備え(提案例):法定外業務の範囲を棚卸しし、「どこから先は包括/行政へエスカレーションするか」を整理しておくと、判断のばらつきを減らしやすくなります。

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重要④|囲い込み対策:提携時の独立性担保(有料老人ホーム等)

資料では、いわゆる「囲い込み」対策として、介護事業所と提携する有料老人ホーム等において、
ケアマネ事業所やケアマネジャーの独立性を担保する体制の確保や、住まい事業と介護サービス事業の会計分離などが論点として整理されています。

  • 事業所の備え(提案例):紹介・提携・便宜供与に関する社内ルール、重要事項説明、意思決定プロセスの記録を整理しておくと、説明時に根拠として示しやすくなります。

よくある質問(FAQ)

Q. ケアマネの「更新制」とは何ですか?

ここでいう更新制は、介護支援専門員証の有効期間更新(更新のための手続き)を指します。

Q. 更新制は本当に廃止されるのですか?

2025年12月25日時点の資料(意見案)では、「更新の仕組みを廃止」と記載があります。
ただし、制度としての確定・施行時期は今後の検討で具体化されます。

Q. 更新がなくなるなら、更新研修もなくなりますか?

資料上は、更新の仕組みは廃止しつつ、「引き続き定期的な研修受講を求める」方向が示されています。
つまり「更新の手続き」と「研修による質担保」を切り分けて整理する意図が読み取れます。

Q. いつから変わりますか?

現時点の資料は「方向性」のため、開始時期・経過措置・運用(頻度、例外、オンライン可否等)は未確定です。

Q. 居宅は、介護予防ケアマネジメントを必ず受ける必要がありますか?

資料の表現は「可能とする」です。この資料のみから義務化と断定はできません
一方で「可能」になった場合、市町村の運用や地域の体制によって、居宅への受託打診が増えることは想定されます。

Q. 事業所として今から準備するなら何が優先ですか?

まずは、(1)研修受講の年間計画、(2)受講時の勤務扱い・費用負担、(3)繁忙期に偏らない分散、(4)受講歴の台帳管理を、確定前でも「社内の叩き台」として整理しておくのが実務上有効です。



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出典(一次情報)